聞いてくださいよ~。
来月に結婚式があるんですけど、新型コロナウイルスがすごく不安でどうしようか迷ってるんです。
ゲストの皆さんのことを考えたら中止した方がいいですかね?
確かに難しいところだね。
日本では発表されている限りでは、感染者はまだ少ないけど、パンデミックにつながる恐れもあるし、政府もイベントについては慎重に検討するよう要請を出したからね。
イベント等の開催について、現時点で全国一律の自粛要請を行うものではないが、専門家会議からの見解も踏まえ、地域や企業に対して、イベント等を主催する際には、感染拡大防止の観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討するよう要請する。
新型コロナウイルス感染症対策の基本方針
世界保健機関(WHO)は24日、感染が拡大している新型コロナウイルスについて、各国は、今後起こり得るパンデミック(世界的流行)への「準備段階」に入るべきだと述べた。一方で、新型ウイルスのアウトブレイク(大流行)をパンデミックと宣言するのは時期尚早とした。
WHO、世界は「パンデミックへの備え」必要 新型ウイルス
ただ現実問題として、新郎新婦さんはキャンセル料のことを考えると、気軽に中止を決断できないよね。
そうなんですよ。
来月に挙式なんで今からキャンセルするとなると、現時点の結婚式の見積り費用の50%なんで150万円支払う必要があるんです。
そんなに多額の金額を支払ったら、コロナウイルスの問題が終わった後にもう1回、結婚式を挙げられるお金なんてなくなっちゃいます。
新型コロナウイルスが流行していても結婚式のキャンセル料は想像以上に高額
まず、キャンセル料について一般的な基準で説明します。
キャンセル日 | キャンセル料 |
---|---|
挙式日の150日以上前 | 申込金の全額 |
120~149日前 | 申込金の全額+その時の見積り金額の10%+実費 |
90~119日前 | 申込金の全額+その時の見積り金額の20%+実費 |
60~89日前 | 申込金の全額+その時の見積り金額の30%+実費 |
30~59日前 | 申込金の全額+その時の見積り金額の40%+実費 |
10~29日前 | 申込金の全額+その時の見積り金額の50%+実費 |
前日~9日前 | 申込金の全額+その時の見積り金額の50%+飲み物&料理の全額 |
当日 | その時の見積り金額の100% |
ただし、キャンセル料は結婚式場によってバラバラです。
150日以上前だと申込金の半額のみで済んだり、見積り金額の○%ではなく、会場使用料、基本料金など区分してそれぞれで○%としている場合もあります。
結婚式のキャンセル料は、想像している以上に高額ですよね。
90日以上前だと何にもコストが発生していないはずなのに、なんで見積り料金の20%も取られちゃうんですか?
なんか損してる気分です。
その気持ちはよく分かります。
でも現実問題として、あなたが申し込んだ時点で、他のお客様からの申込みは全てお断りしてるんです。
だから、あなたが申し込んだ後にキャンセルすると、他のお客様を入れられたはずの売上に関して機会ロスが発生してるんですよ。
その売上の機会ロスは結婚式までの日程が近づくにつれて、キャンセルされたとしても別のカップルが申し込む割合が低くなっていくので結婚式に近づくにつれてキャンセル料が上がっていくという理屈です。
なるほど。
確かに言われてみればそうですね。
でも、見積りの段階でそういう話は一切されませんでしたよ。
はい。
ほとんどの式場では、キャンセル料の説明は申し込みの意思を伝えた後の契約時に説明されるのが原則です。
見積りの時はキャンセル料について一切、話題に触れられもしません。
でも、気になるならあらかじめしっかりと細かく質問しておかないといけません。
聞きづらいからとアバウトに質問すると、回答もアバウトになります。
実際にこんなことがありました。
あるカップルが式場に新型コロナウイルスの時のキャンセル料について質問しました。
新型コロナウイルスが流行してるから心配なんですけど、もしキャンセルとなったらどうなりますか?
それに対する返答は次のとおりです。
新型コロナウイルスに感染して入院したらキャンセル料を全額保障してくれる保険があるんで入っておけば安心ですよ!
こう聞くと安心しちゃう人もいますが、事態はそう簡単ではないんです。
質問に回答している感じですが、実はかなり抜け漏れがあります。
結婚式のキャンセル料を補償してくれるブライダル保険(結婚式総合保険)は、補償される内容がかなり細かく規定されていて、キャンセル料を払ってもらえる場合と全く出ない場合があります。
だから、必ずどういう場合に払ってもらえるのかどうかをキッチリ調べておきましょう。
新型コロナウイルスでも安心!?結婚式総合保険『佳き日のために』
新郎新婦or新郎新婦の子どもor新郎新婦の両親のいずれかが入院した場合
新郎新婦or新郎新婦の父母・子・兄弟姉妹の死亡
式の開催中、ご招待客が救急搬送された時の補償
1つずつしっかり見て行きましょう。
新郎新婦or新郎新婦の子どもor新郎新婦の両親のいずれかが入院した場合
正確には次のとおりです。
新郎新婦または新郎新婦の父母・子の傷害または疾病による7日以上の継続入院
結婚式当日に、新郎新婦が入院中、または医師による自宅等での待機指示
新郎新婦とその一親等の範囲内にいる人(父母と子供)が7日以上入院している場合と、新郎新婦が入院もしくは、自宅での待機指示も含まれます。
そのため、コロナウイルスの場合、医師から自宅での待機指示を受けるとキャンセル料は支払われます。
それと新郎新婦のみに限定されますが、入院した場合は入院一時金もでます。
1名につき 10万円 新郎新婦ともに入院した場合20万円
新郎新婦or新郎新婦の父母・子・兄弟姉妹の死亡
新型コロナウイルスに関わらず、万が一、不幸にも新郎新婦もしくは親族が亡くなった場合にもキャンセル料は補償されます。
その場合、新郎新婦の死亡の場合に補償されることは当然として、父母、子供、兄弟姉妹までの死亡について補償されます。
2親等以内ですが、祖父母は含まれませんので、万が一にも祖父母に不幸があった場合でも保険はおりてきませんので注意してください。
式の開催中、ご招待客が救急搬送された時の補償
あまり考えたくない事案ですが、招待客が新型コロナウイルスなどに感染しており急病で救急搬送された場合には1名につき1万円の保険金がおりてきます。
1名につき 1万円 最大20名まで
ただし、この場合に万が一、感染していた方(A氏)から他のゲストの方(B氏)への感染があった場合、B氏についてはなにも補償されませんので注意してください。
あくまでも救急搬送された方に対しての見舞金です。
割と手厚く色々と保障してくれていますが、注意もあります。
結婚式総合保険『佳き日のために』で新型コロナウイルスでキャンセル料を払いたい時の5つの注意点
自分の意思によって結婚式を中止した場合は保険の対象外
新型コロナウイルスが流行しているからと言って、自分の意思で結婚式の中止を決めた場合は、保険は一切おりてきません。
ゲストのためを考えて、早めにキャンセルor延期した場合は、キャンセル料は全額自己負担ですが、直前ギリギリまで悩んで結婚式場から延期の申し出があった場合には、キャンセル料や延期の手数料はゼロ円ということもあります。
非常に悩ましい点ですが、結婚式場と相談しながらギリギリまで検討されても良いかと思います。
兄弟姉妹が入院していても保険の対象外
兄弟姉妹が入院していると心配で自分の幸せに浸れないという気持ちはとても理解できますが、兄弟姉妹が入院している場合でも結婚式のキャンセル料については保険がおりてきません。
プランによって補償される金額は異なる
Aプラン(1万円):補償額 150万円
Bプラン(3万円):補償額 500万円
Aプラン(5万円):補償額 850万円
プランによって補償される金額は異なります。
日本の結婚式ではゲストの数は、60-70名が一般的です。
その場合ですと、3万円のBプランだとほぼ大丈夫といえるでしょう。
ここで2万円を惜しんでAプランにすると補償される金額で350万円の差がでますからケチることはオススメしません。
挙式の45日前に加入しないといけない
2月25日に政府からアナウンスがあったので、3月25日の挙式が心配になったとしても、結婚式総合保険には入れません。
保険は挙式日の45日以上前に申し込んでいないと適用されないんです。
だから一番悩ましいのは3月下旬の結婚式を挙げるカップルだと思います。
逆にまだ結婚式まで45日以上あるなら保険の申込みを検討しましょう。
少なくとも希望的観測で新型コロナウイルスが収束すると期待しない方が良いです。
結婚式保険が使えない結婚式場があるからまずは確認!
根本的な問題ですが、結婚式総合保険を使えない結婚式場もあります。
だから、結婚式まで45日以上あるからすぐに保険を申し込もうとせず、まずは担当のウエディングプランナーさんに新型コロナウイルスの影響でのキャンセルが怖いので、結婚式場が結婚式の保険に対応しているかどうかを確認しましょう。
以上のとおり、新型コロナウイルスのために結婚式をキャンセル、延期する場合のお金にまつわることを書いてきましたが、完璧な対策はありません。
式場によっても対応が分かれてきます。
結婚式場によっては新型コロナウイルスは特例としてキャンセル料を減額または日程変更してくれる可能性がある
コロナウイルスが広がっていて不安なことは結婚式場も分かってるはずなんだし、キャンセル料とか取らないでほしいですよ。
気持ちは分かるけどそれは難しいね。
結婚式場も前準備でたくさんの人が動いているんだよ。
挙式に近づけば近づくほど、お花代や料理の材料代がかかってくる。
それを全部、結婚式場の負担にすると経営が立ち行かなくなっちゃうんだ。
ただ、コロナウイルスでお客さんが不安になっているというのは式場も分かってるから、キャンセル料を減額してくれたり、日程変更に応じてくれるところも場合によってはある。
でも、あくまでもそれは特例の措置だよ。
結婚式場の種類によって対応の差ってあるんですか?
結婚式場のビジネスモデルから考えると、『ゲストハウス』『専門式場』『ホテル』『レストラン』の4つのうち、『ホテル』の方が柔軟に対応してくれる可能性が高いよ。
ゲストハウスや専門式場は、売上の大部分が結婚式だけなんだ。
たまに企業の宴会やパーティーで使われることはあるけど、結婚式の売上が圧倒的だ。
だから、気軽に結婚式の費用を割り引いたり、キャンセル料を減額したりというのは難しい。
その点、ホテルはメイン事業がホテルと結婚式の2つある。
だから、金銭的な交渉はホテルの方がやりやすいんだ。
ただ、ホテルだから必ずしも柔軟に動いてくれて、ゲストハウスだから絶対に割引が無い、なんてことはない。
会社の方針によってケースバイケースなんだ。
でも、今回のようにコロナウイルスやインフルエンザなどの流行性のウイルスが流行っているときに割引やキャンセルの交渉をしたいなら、このような業界背景を知った上で動けるかどうかで大きく変わってくるからよく覚えておいて。
結婚式場最大手のテイクアンドギヴ・ニーズが結婚式の日程変更 無料! 2020年2月29日追記
全国65店舗を展開する大手ブライダル会社の「テイクアンドギヴ・ニーズ」が結婚式の日程変更(延期)を無料で対応することを決めました。
テイクアンドギヴ・ニーズ担当者
「予定どおり開催したほうがいいか延期したほうがいいかはお客様が判断することですが、一生に一度の晴れ舞台なのでできるだけお客様に寄り添って対応していきたい」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200227/k10012304911000.html
ブライダル業界のトップ10の中で2020年2月29日現在、結婚式の日程変更に無料で対応することを決めたのはテイクアンドギブ・ニーズの1社のみです。
この決断には心から敬意を表します。
一般的に結婚式まで1ヶ月を切るとキャンセル料は最新見積り金額の半額以上となります。
その理由は、準備にかかった費用の清算のためですが、延期したとしても結婚式場としては実損がでます。
それが、準備にかかった人件費、招待状などの実費、仮に挙式まで2日を切っていたとしたら料理やお花の材料費など全部を式場が負担するとなるとかなりのダメージです。
それでも新郎新婦に料金を請求しないというのは非常に大きな決断です。
このような決断は、式場を1つしか持たないような小さな企業ではなかなかできません。
売上は大きいので利益もたくさん取っているだろうと思われがちなブライダル業界ですが、実は売上は大きくてもコストも大きいので、利益があまりでないのです。
そのため、結婚式を延期されて売上がマイナスになったとしても耐えられるだけの企業体質でないといけませんが、大手であれば、まだ体力もあるので比較的柔軟に対応しやすくなります。
でも、小さな企業では即倒産につながりかねません。
決して小さな企業はダメと言うわけではありません。
でも、いざという時の対応能力は大手ならではといえるでしょう。